錦保険スタッフブログ

主に保険のポイント、お役立ち情報等を発信しています。尚、ブログは初心者の模様(笑)

マンション管理組合の火災保険は築年数別料率で保険料が高くなる!?

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こんにちは。

AIU富士火災が合併してAIG損害保険が誕生しました。
今後の動きに注目していきたいです。
さて、2018年も平常運行されていますが皆様いかがお過ごしでしょう。
昨年末、マンション管理組合から満期1週間前に見積もり依頼を頂き、なんとか滑り込みでご契約を頂きました。
まだまだ需要があると思いますので書いて行きたいと思います。



マンション管理組合で加入する火災保険とは?

マンション管理組合の保険の基礎

マンション全体を一つの火災保険契約でまとめるわけではありません。
各所有者が居住(もしくは賃貸に出している)専有部分と共用部分があるためです。そのためマンションの火災保険は次のように契約します。

●専有部分 所有者自身
●共用部分 マンション管理組合

(管理組合が機能していないなどのケースでは所有者が自分の持ち分の共用部分を含めて契約)

そのためマンションの共用部分の保険については、自分の考え方が必ずしも保険契約に反映されるわけではありません。
マンション管理組合での総会の決議などが必要になるからです。

共用部分の火災保険はもっと安い保険にしたほうがよい、あるいは多少高くても補償がしっかりしたほうがよいなどと思っても必ずその通りになるわけではありません。

多数決で自分の考えとは反対の意見が採用されることもあることがマンション管理組合の共用部分の保険の特徴です。





マンション管理組合の火災保険の補償内容

管理組合の共用部分の保険といっても、ベースは火災保険ですから基本的なところは個人で加入する火災保険と大きな違いはありません。
箇条書きにしてまとめると次のような補償の構成です。

1.建物部分の火災保険の補償(火災、落雷、破裂爆発、風災、雪災、水災など)
2.施設賠償責任保険
3.個人賠償責任保険
4.漏水事故原因調査費用
5.その他特約

施設賠償責任保険は共用部分からの水漏れなど、個人賠償責任保険は専有部分からの水漏れなどに対応します。
水漏れの場合は原因によってどの補償から保険金が出されるかが変わります。




マンション管理組合の火災保険の期間は?

2015年10月に火災保険が改定された関係で、火災保険の保険期間は最長10年に改定されました。
管理組合の共用部分の火災保険で10年を超えるような契約はあまりないでしょうが、10年までが最長です。

この後管理組合を取り巻く状況の変化について解説しますが、事故が多いことから保険会社によっては5年程度までの期間でしか契約しないところもでてきています。




■築年数別料率の導入
損保各社はこれを受けてここ数年、マンション管理組合の共用部分の保険に「築年数別料率」を導入しています。
下記は一例です(損害保険会社によって区分は違います)。

●築10年未満
●築10年以上15年未満
●築15年以上20年未満
●築20年以上
●築25年以上
●築30年以上

保険会社によって違いはあるものの築10年以降は5年きざみくらいでベースとなる保険料率を変えています。
会社によって築20年以上あるいは30年以上は一律などとしているケースもあります。

新築など築浅の物件は2015年10月改定で割引を適用する損保もでてきているので、新しいマンションの管理組合は問題ありません。
しかし築20年経過するあたりから状況が変わってきます。2015年10月の火災保険改定で管理組合の築年数の経過したマンションの保険料率を大幅に値上げしました。
そのため保険契約を不可にしていた損保も契約の引受けを再開したところもあるようですが、損保によっては築年数の古いマンションの契約をしないケースもあります。

料率改定によって掛金はかなりアップしました。その後2017年1月に地震保険の改定、さらにあと2回地震保険は改定される予定です。




■契約の引受け基準

これはすでにお話したように各社バラバラです。保険契約としては最も重要なところですが、契約の引受け基準をオープンにする保険会社はありません。

「築年数」、「新規契約」か「継続契約」かなどによって各社動きが変わります。

実務的には個別に打診をしていくかたちになります。
いずれにしても築年数の古いマンションは保険料が上昇傾向であること、場合によっては保険契約の引受けの問題が生じることを覚えておいてください。




■築年数が経過していても保険料が安くなる可能性の保険

管理状態に応じて保険料率に差を設ける管理組合の保険が発売されています。
いわゆるリスク細分型の管理組合の保険です。

事前にマンション管理士管理状態をチェックしてその評点に応じて保険料が変わる仕組みです。
築年数が古いマンションでこの評点が良好であればあるほどかなり有利な保険料が提示されます。

生命保険などでいうと、高齢だけど健康だからその分保険料を高くしないというようなイメージです。

築年数が20年、30年、40年などと経過して、この診断の評点が高ければ、保険料はかなり安くなります。

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マンション管理組合の共用部分の保険の動向

管理組合の共用部分の火災保険について、築年数20年近くになったらある程度早めの準備が必要です。
マンション本来の寿命などを考慮してもこうした傾向はこれからも続くことが予想できます。

対応策としては適正なマンション管理を継続して行うことが重要です。管理組合の収入源は限られています。
銀行にお金を預けてもリスクを取らないとほとんど殖やすことができない状況で、コスト削減は大きな命題です。




マンション管理組合の共用部分の保険の対策

築年数が経過して水漏れ事故などが増えてくるタイミングで、保険料が高くなったり、契約を断られたりするのでは大変です。

●適正なマンション管理
●管理組合の保険の業界動向の収集(保険会社、管理会社、マンション管理士など)
●保険の改定動向にアンテナを立てる


何でも業者任せにせず、無駄がないか管理組合の中できちんとチェックしていかなければなりません。
これは各所有者が共有して持たなければならない認識です。

業界動向や管理組合に関わる保険も状況が変わっていきますから、色々な関係者から意識して情報を集めてください。
その意味では保険選びはもちろん管理会社などをどう選ぶのか、マンション管理の運営をどのように行っていくかはとても重要です。



■具体的な対策

築年数の経過したマンションは保険料がアップするケースが多くなりますが具体的な対策を考えてみましょう。

●保険金額(契約金額)、付保割合の見直し
●補償内容、免責金額設定の見直し
●長期契約の検討

マンションの保険金額には一定の幅があるので、この幅の範囲を確認しつつ、全焼などが起きにくいマンションの特性を考慮して付保割合も検討しましょう。必ずしも契約金額に対して100%の割合で契約しなければならないわけではありません。

同時に不要な補償がないか、軽微な損害なら自己負担の金額を設定すれば保険料を節約できることもあります。
また長期契約にすることで保険料に割引がききます。




■まとめ

マンション管理組合の保険はかなり状況が変わってきています。
住まいは大切な生活の中心基盤です。ここに安心して暮らせる状態になっていないと生活そのものが落ち着きません。
資産価値の維持、自分や家族の安心した居住空間を確保するために、面倒くさがらずに当事者意識を持ってマンション管理に関わってください。
そして適正な保険選びを検討してください。

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渡部