錦保険スタッフブログ

主に保険のポイント、お役立ち情報等を発信しています。尚、ブログは初心者の模様(笑)

統括防火管理制度をご存知ですか!?

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皆様こんにちは。

毎日寒い日が続いておりますが、今年はラニーニャ現象の影響で例年より寒い日が多いようですね。
特に日本海側の積雪量は12月としては記録的な大雪となっています。
スキー場などはここ数年雪不足に悩まされていたので嬉しい悲鳴となりますが、日常生活では困ったもんです。
すでに雪かきなどを毎日されている地域もあるかと思いますが、高い所の雪かきの際には命綱をつけて転落防止に努めるなど、事故には十分お気を付けください。


先日、埼玉県の大宮駅近くで4人の死亡を含む12人が死傷したビル火災のニュースをご覧になった方も多いかと思います。
このビルの2階南側の階段付近にゴミやタバコの吸い殻を捨てておく場所があり、焼け方からこの場所が火元になった可能性が高いとされています。
亡くなった方の中の3人の死因が一酸化炭素中毒によるものだったことも判明しています。
異常に気が付いた時には煙に捲かれ、出口の方向も分からない状況だったんだと思います。
お亡くなりになった方のご冥福をお祈りいたします。


■統括防火管理制度



みなさんは「統括防火管理制度」という制度をご存知ですか?
2014年(平成26年)4月1日に施行された制度で、対象となる建物のオーナーに「統括防火管理者の設置(選任)」が義務付けられました。
建物オーナーや管理会社へ消防庁から一斉にアナウンスされ、選任するように指導が入るようになりました。


では、「統括防火管理者」とはどのようなものなのでしょうか。
東京消防庁のホームページによると、「近年、雑居ビル等で多くの死傷者を伴う火災が相次いで発生していることや東日本大震災の激しい揺れにより、高層ビル等において人的・物的被害が発生したことを受け、防火・防災体制を強化するために消防法令の改正が行われました」とあります。

このことから、統括防火管理者制度の目的は「雑居ビル(店舗や事務所や住宅が混在する複合建物)」「高層ビル(高さ31mを超える建物)」の「防火・防災体制の強化」ということがわかります。

そして、統括防火管理者の役割としては、
・建物全体についての防火管理の中心者として、「全体」の消防計画作成や消防訓練の実施、共用部分全般の管理
・建物内の個々の部屋(事務所や店舗など)の責任者へ共用部分の避難の邪魔になるものの撤去や消防訓練への参加の指示

になります。

つまり、防火管理体制の維持のために、建物入居者へ「具体的な指示をする権限」が与えられるようになったのです。


■実際の仕事と責任の重さ


統括防火管理者制度が創設された趣旨が「建物全体の防火管理体制の強化」であることや、選任された統括防火管理者に「具体的な仕事と指示権」が与えられたことから、単にお飾りの統括防火管理者を設置するのではNGであることが容易に分かります。
指示権とは聞こえは良いですが、言葉の裏を返すと、店舗や事務所・住宅へ具体的に指示する「義務や責任」があるということです。

統括防火管理者の対象となる建物のほとんどが、建物の利用用途がバラバラなテナントが入居する複合建物で、それぞれ防火・防災に対する意識が異なります。
これら多様性のある入居者一人一人へ防火防災に対する指示や指導を行い、改善してもらうには粘り強さや継続性が必要になってきます。
テナントが防火管理者を立てていなければ、立てさせるところから指導しなければなりません。
特に繁華街の複合建物(雑居ビル)などは、防火管理者になるべきテナントの責任者が外国人という場合もあるでしょう。
言葉や文化の違いがでてきてしまい、やり取りをして理解してもらうだけでも大きな負担になってしまいます。
そして、最も怖いのは、統括防火管理者が業務を遂行せず、万が一火災事故等が起こってしまった時に建物オーナーにも責任が問われてしまうということです。

木造よりも火災のリスクは低いとは言いつつ、実際にビル火災は各地で起きています。
万が一火災が起きてしまった際に死傷者を出さないためにも日頃の防火・防災意識が重要になってくるのです。

大谷