錦保険スタッフブログ

主に保険のポイント、お役立ち情報等を発信しています。尚、ブログは初心者の模様(笑)

【火災保険】管理組合がマンションにかける保険と値上げ対策

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こんにちは。

マンション共用部分の火災保険の大幅値上げが発表されて、駆け込みで契約をしてからそろそろ満期のタイミングが近い契約も増えてきているんではないでしょうか。

管理組合がマンションにかける保険にはどうようなものがあるのか、そしてより賢く運営していくための値上げの抑制手段を紹介していきたいと思います。





■管理組合がマンションに必ず付保する保険



●火災保険

最も一般的な保険で、共用部分が火災や落雷、風害等により被害を被った時に被害を補填してもらうための保険です。
なお、水災は、補填されないので、昨今のゲリラ豪雨対策として必要と考えるなら、水災、風災特約等、別に付保する必要があります。



●施設賠償責任保険

共用部分の維持管理の落ち度によって管理組合が負担することになった損害賠償責任を塡補するための保険です。

例えばマンションの外壁タイルが剥がれて落下し、その下を通行していた人に当たって怪我をしてしまった等、マンション共用部分の欠陥や過失による他人への賠償事故を補償する保険です。築年数が経過すればするほど重要になってきます。






■マンション販売業者や管理会社の判断で付保することのある保険



●個人賠償責任特約包括

専有室間の事故(特に、漏水事故)による損害と損害発生原因の調査費用を塡補する保険です。
契約者は管理組合ですが、各室の入居者を被保険者とするのです。

例えばマンション上階の部屋で洗濯機を使用していたら、給水ホースが外れてそれに気づかず、大量の水を流してしまい、下階の部屋に漏水を生じさせてしまったり、お子さんがバルコニーから、誤っておもちゃを落としてしまい、1階専用庭の設備を破損させてしまった等により損害賠償を請求された際に、対処するための保険です。

この個人賠償責任特約包括は、本来居住者が専用部分に保険を付保するときにこの保険は各々付保しているはずなのですが、加害者となった人が保険を掛けておらず、損害請求に対応できない(お金が無くて支払えない等)と、トラブルが長引くことがあるため、管理会社の判断で付保しているケースあります。

マンションの共用部分に関わる保険ではありませんが、共同住宅の特質に基づき組合で加入することが少なくない保険です。
加入している管理組合がほとんどだと思いますが、居住者の認識が統一できるならば、外してしまっても良いと思います。

nishikihoken.hatenablog.com



機械的・電気的事故の保険

施設賠償保険では、機械的・電気的事故は保険の対象とはならず、原因がはっきりしない施設の不具合による事故が発生した場合、保険金がおりない可能性があります。
それを担保するため、管理会社の判断で付保している場合があります。機械式駐車機ですとか、設備機器が多いマンションでは付保ていおいてもよい類のものです。



●水害特約

マンションの建っている場所が行政の発行しているハザードマップにより、過去に水害が発生していたり、水害指定地域内にある場合付保します。
近年では大雨の事故や台風の被害などが多いため、この保険の加入される管理組合も増えているように思います。



地震保険

地震保険は、国は加入を推奨していますが、管理会社の判断で付保はしません。

大抵の新築マンションは、当初地震保険には加入していません。理由は保険料が高いため、費用対効果について、組合員の協議により付保するかどうか決めるべきものと考えるのが一般的です。





■保険料の値上げ対策

近年、保険料が値上がりしています。
漏水事故の多発や全国で災害が続き、保険会社が保険金を支払うことが増えたことが一因でしょう。

マンションの共有部の保険もそれに漏れず大幅に値上がりしています。
保険に加入して十分なリスクヘッジをしながら保険料負担を減らす(あるいは現状維持を図る)方法を紹介します。


●保険料算定の基礎情報が正しいか?

火災保険料算定の基礎となる建物の構造や延床面積、竣工年などが間違っていることが案外と多く、正しく保険料が算定されていないことが少なくありません。

面積が共用部分の面積ではなく、専有部分の面積を含んだ総面積だったり、平成23年築が平成13年築になっていたり。きちんとした建物情報に基づいて保険料が算定されているかを確認することが大事です。


●無駄に高額の保険金額になっていないか?

施設賠償責任保険の保険金額は、対人・対物共通、1名1億円・1事故5億円というように保険金の上限を決めます。この額が大きくなれば保険料も高くなります。

高い方が安心であることは間違いありませんが、外装のは塗装仕上げよりもタイル貼りの方がリスクが高い等、各マンション共用部の特質(リスク)がありますので、それにしたがって適切な保険金額を設定することが大切です


●約定付保割合+実損塡補の設定を確認

火災保険では、通常、建物の評価額を「新築費単価法」で形式的に算出し、この全額を保険金額としています。

しかし、建物評価額の100%でなく、例えば70%にして評価額を下げて保険料を安くする方法もあります。
これを約定付保割合(やくじょうふほわりあい)の設定といいます。

例えば、共用部分評価額が3000万円のマンションに火災が発生して半焼1500万円の損害だった場合、約定付保割合70%としても2100万円が保険金額の上限となり、損害額の全額1500万円が保険で賄えることになります。

但し、これは、実損塡補方式で契約した場合の話。比例塡補方式だと、損害額の70%、1050万円しか保険金が支払われず自費負担が出てしまうので、注意が必要です。

ここは難しいところなので保険の専門家に相談されると良いでしょう。



●免責金額の設定

免責金額とは、保険金が支払われる事故が起きた際に、契約者(管理組合)が自己負担しなければならない金額のことです。

例えば、保険金額1000万円の保険に加入していた場合に100万円の損害が発生したとすると、免責金額0円の契約であれば、損害額100万円が全額保険で賄われます。

これに対して、免責金額10万円の契約であれば90万円しか保険金が出ませんが、保険料は安く済みます。
事故発生のリスクの大きさ、免責金額の設定による保険料減額がどれくらいなのか、費用対効果もふまえて上手に免責金額を設定しましょう。


●保険の相見積をとる

保険料の値上げと共に、保険会社間の競争が激しくなっています。
長年つきあってきた保険会社の保険を従前通りに更改というのが普通でしょうが、一度、別の保険会社に提案してもらってみては如何でしょうか。

各社、若干商品に違いがありますので、保険料だけでなく、新たな発見があるはずです。

nishikihoken.hatenablog.com



●個人賠償責任保険の解約

マンション共有部の保険料は管理費から支払われています。

管理組合が加入する個人賠償責任保険というのは、本来、区分所有者各人が入るべき保険に管理組合が一括で強制加入しているといったものです。
各戸が隣接する共同住宅の特質を考えれば、管理組合がこの保険に加入するのには一理あります。

しかし、管理費会計は逼迫しているのが通常ですし、自費で個人賠償責任保険に加入している区分所有者もいるでしょう。
管理費会計の適正化、公平の観点から、個人の損害賠償責任リスクは、あくまでも個人で回避するという意味で、管理組合の個人賠償責任保険加入をやめるのも一つの選択です。

専有室間の漏水事故の多発等の理由で、マンション管理組合の個人賠償責任保険を断る保険会社も出てきています。

但し、この場合には後で「知らなかった」とならないように、各戸で保険に加入することの推奨・勧誘が必須です。



地震保険の再考

地震保険の重要性は否定できません。ただ、高額な保険料に見合った価値があるのかどうかは、今一度、保険内容、損壊ケース毎の保険金額を分析して再考してみてもよいかも知れません。

一般に、地震保険は建物評価額の30~50%の範囲内で保険金額の上限を決めますが、建物が全壊すれば保険金額の全額が支払われるものの、その場合には、おそらく、専有部分(各区分所有者)も大変な状況になっているでしょう。一部損の場合は保険金額の5%。つまり最大でも建物評価額2.5%が支払われるに過ぎない保険なのです。






●まとめ

「保険」と一口に言っても様々な種類があり、そして様々な削減方法があります。
保険は専門的な知識が必要なため、本格的に見直すのであれば、我々保険代理店等にアドバイスをしてもらうことが必要です。

大事なことは管理会社のいう事をまるまる全部鵜呑みにしない事です。
マンション管理に基づいて、劇的に安くなる保険もありますので!!


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渡部