錦保険スタッフブログ

主に保険のポイント、お役立ち情報等を発信しています。尚、ブログは初心者の模様(笑)

消防活動で損害を受けた場合!どうすればいいの?

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皆様こんにちは。

8月に入り、ノロノロ台風の影響で西日本を中心に記録的な大雨となりました。
これからの時期は次から次へと台風が発生し、日本を横断していくという気の抜けない時期でもありますね。

さて、8月3日の夕方に東京・築地の場外市場で大規模な火災が発生したことはニュース等でご存知かと思います。
火元となった商店と周辺7棟に燃え広がり、およそ950平方メートルが焼けたということです。約15時間燃え続け翌日の8時頃に鎮火しました。
現場は飲食店や商店などが密集しているために次々に燃え広がってしまいました。
2次災害を防ぐため、周辺の電線を切断して消火活動に当たったため、築地場外エリアのほとんどが停電となりました。このエリアには多くの食品在庫を抱える店がたくさんあります。つまり、周辺のお店は大打撃を受けることになります。
そこで、東京電力は電線の切断作業と同時に消火活動に支障がないように代替の電線が設置され、停電は2時間で復旧したということです。これにより多くの店を救ったことになります。
原発の件では色々言われておりますが、今回の対応力は見事だと思いました。

しかし、大きく被害を受けた店舗もあります。
燃え広がった店舗はもちろんですが、消火活動により水浸しになった店舗もあります。
それにより商品がすべてだめになってしまった乾物屋さんもあるようです。
延焼被害とは少し異なりますが、火事の際には消防などが消火活動を行った影響で損害を被ることがあります。
消防は延焼が広がることを防ぐために、まだ火が到達していない隣の建物にも放水することがありますし、密集したエリアの場合は建物を破壊することで延焼を防ぐ場合もあります。
消防活動の妨げになる建物等をやむを得ず破壊することあるでしょう。

こうした消防活動に伴う破壊行為などについては「消防法」という法律に定めがあります。
このような破壊行為は消防法によって、正当な理由がある場合(「延焼防止のためにやむを得ない」「人命救助のために緊急の必要があるとき」など)は適法なものであると認められています。
そのため損害賠償請求などはできません。
では、どうするか?
消防法には「そのために損害を受けた者からその損失の補償の要求があるときは、時価によりその損失を補てんするものとする」と定められており、「補償に要する費用は、当該市町村の負担とする」となっております。
ただし、例外があります。
損害を被ったのが「延焼のおそれがある消防対象物」である場合はこの対象とはなりません。
つまり、このままでは延焼してしまうと判断されて破壊された建物に対しては補償されないのです。延焼のおそれはないが、消防活動の都合で損害を与えられた場合のみ市町村から補償されます。
しかし、補償されたとしても、補償額は「時価」と定められている点に要注意です。
新価(再調達価格)ではないので、補償額は不足することが多いのではないでしょうか。

このように、消防活動の影響で被った損害は補償される場合もあるけど不十分となりがちで、そもそも補償されないケースもあるのですから、やはり火災保険の重要性は揺らぎません。
火災保険では、隣家の火事に対する消防活動で被った被害も補償の対象となります。
オール電化の家も増えてきましたし、喫煙者の減少により寝タバコ等の可能性も低くはなってきておりますが、どんなにご自身で気を付けてても隣家からの火は防ぎようがありません。
火災保険の重要性を再認識していただければ幸いです。

大谷