【企業保険】建設業で元請に保険加入を求められる時に確認するポイント
こんにちは。
最近、建設業界の方からご相談を受ける事がありました。
大手ゼネコンや新しい取引先の現場への新規入場に際し、加入している保険について安全書類に記入を求められたり、未加入の場合は保険の加入を求められる場合があります。
元請ごとに書式が異なったり、担当者によって保険の呼び名が保険の正式名称でないことから、意図している保険が分からず保険の確認や加入に手間取ることがあるのです。
また、元請から言われた保険に入りたいとあちこち問い合わせてみても確認が必要だったりで目的の保険が何なのか分からないことが多いのです。
今回は、元請より保険加入を求められた場合に、どの保険を意図しているのか確認するポイントをご紹介します。
■労災保険に加入するように言われた場合
元請から労災保険に加入するように言われると「労災保険」だと思い、インターネットで検索しませんでしたか?
実は、元請が言う労災保険には、国の労災保険(労災の特別加入を含む)を指す場合と民間の保険を指している2つの場合があるのです。
ちょうど、自動車保険に自賠責と任意保険があるように、自賠責が国の労災保険、任意保険が民間の傷害保険(労災の上乗せ保険)のような関係になります。
あなたが事業主か一人親方であれば、安全書類に労災番号の記入を求められているケースが多く、その場合は、労災の特別加入を指している場合が多いのです。
元請から労災保険に加入するように言われたら、「労災の特別加入ですか?それとも民間の上乗せ労災保険ですか?」とお尋ねください。
大手ゼネコンが元請の場合は、事業主や一人親方の労災特別加入と民間の労災上乗せ保険の両方を求められるケースも多いです。
さらに、大手ゼネコンには民間の上乗せ保険に加入する保険基準(例えば死亡保険金額 ○○○○万円以上など)が決められています。
民間の上乗せ保険に加入するように言われたら、必ず保険内容の基準を確認しておきましょう。
せっかく、保険に加入しても基準を満たしていませんと言われては努力が水の泡になってしまいます。
■工事保険に加入するように言われた場合
元請から工事保険に加入するように言われた場合は、特に注意が必要です。
なぜなら、担当者によって全くイメージしている保険が異なるからです。
工事に関わる保険を総称して工事保険とか建設工事保険と呼ぶことがあるためです。
そんなときは、担当者に「工事保険はどんな保険でしょうか?」と聞いてみましょう。
さらに、「現場のケガの保険でしょうか?、物損などの賠償保険(第三者賠償責任保険)でしょうか?それとも資材の保険でしょうか?」と聞いてみると具体的な返事をもらえるでしょう。
ケガの保険と言われたら、上記「■労災保険に加入するように言われた場合」を参考に、国の労災か民間の保険なのか確認しておきましょう。
賠償保険と言われたら、保険の加入内容に基準があるかどうか確認しておきましょう。保険金額は1億円以上などと条件の指定がある場合があるからです。
資材の保険と言われたら、「建設資材の損害や盗難、建築中の建物などの保険ですね?」と確認しておきましょう。
■賠償保険に加入するように言われた場合
上記でも少し書きましたが、保険の加入内容に基準があるかどうか確認しておきましょう。
保険金額は1億円以上などと条件の指定がある場合があるからです。
また、すでに保険に加入されている場合でも、工事中だけの保険に加入されている場合も考えられるので、「引渡し後の補償、いわゆる生産物(PL)の補償も必要ですね?」と確認しておきましょう。
■資材の保険に加入するように言われた場合
建設資材の損害や盗難、建築中の建物などの保険です。
保険の加入内容に基準があるかどうか確認しておきましょう。
特に、公共工事やアウトレット関係の工事で求められることが多く、事前に確認しておきましょう。
■火災保険に加入するように言われたら
特に建物の建築に関わる工事で資材の保険をイメージして、火災保険と言われる場合があると思われます。
建設資材の損害や盗難、建築中の建物などの保険と勘違いされていると思われますので、
必ず、「資材の保険ですよね?」と確認しておきましょう。
■まとめ
加入を求められるも複数種類がありますので混同されることもありますが、企業防衛の観点からも考える事ができます。
元請に保険加入を求められてお困りの際は、是非参考にしてみてください。
渡部