錦保険スタッフブログ

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【上乗せ労災保険】建設業の労災で元請け責任が必ず問われる理由とその対応策

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こんにちは。

GWもあけまして五月病というワードが飛び交っていますが皆様いかがお過ごしでしょう。

対処法としてはストレスの発散と解消らしいです。

こまめにストレスを発散していれば、自分の中に溜まることも未然に防げます。
ガス抜きのようなイメージですね。

好きなことをするというのがストレス発散のコツだと思うのでストレスを貯めないよう五月病乗り切っていきましょう。


さて

建設業の労災で元請け責任が問われた場合、高額な支払いを命じられる判例は大変多く見受けられます。
建設現場においては元請業者がすべての下請業者の労災補償をすることが労基法でも義務化されています。
元請としてここまでの責任を負わなければならないのか、実際の建設現場では細かいことは守っていられないよ、などの声も大変多く聞きます。
ですが、実際に現場作業をする下請業者の誰かに重大事故が起きないようにしなければならないのは、元請としての当然の責任と言わざるをえないのが最近の実情です。
今回は建設現場での労災の元請責任の大きさと、その対策について書きましたので是非参考にして下さい。






■元請は現場の全下請けの労災を補償する義務がある

労働基準法では元請は「使用人」という位置づけになり、
現場で数次にわたるすべての下請負人に対して災害補償の義務が課せられます。

元請はすべての下請に対して「指揮・管理・監督」をする責任と義務があります。
つまり、すべての下請を労災から守る「安全配慮義務」が発生するのです。






■元請と下請との関係性から見え隠れする建設業のホンネ

大手ゼネコンのような元請業者と、その下請業者、さらに下請業者、そのさらに下請の一人親方にいたるまで、建設業では請負の流れの中にいくつもの業者が絡んできますよね。

実は「労災が使いづらい」という建設業独特の問題点が、解消されていない状況もあるようです。

その大きな理由は、建設業の元請と下請との関係性です。

「労災隠し」は労基法でも明確に犯罪行為とされていますし、その影響のほうがより多くの損失を招くことは火を見るよりも明らかです。

“何で元請けであるウチばかりがあらゆる責任を負わなきゃならないんだ!
工事のやり直しや、施主からのクレームだって
すべて元請けであるウチが面倒を見なきゃいけないんだ !! “

元請企業からこのような声が聞こえてきそうですが、元請け責任とは、こと労災においては確実にすべての下請に対し安全配慮義務が発生すると思っておいた方がよいでしょう。
責任を当然負うという前提で対策を考えていく方が会社のリスク管理としては得策だと言えます。






■死亡事故が多ければ労災訴訟リスクは高まる

建設業は全業種の中でも死亡事故が依然として多い状況です。

死亡事故ともなれば、残された遺族は生活不安も抱くでしょうし、「どうしてウチの主人が死ななきゃいけないのか…」などの喪失感にかられることでしょう。

死亡の原因を究明していくうちに、過酷な労働条件で働かされていた事実や、直接雇用のあった会社や元請け企業の遺族対応が誠実さを欠いていたとしたら、それは遺族の不安や怒りとなり労災訴訟へと発展していくことも容易に想定されます






■元請は孫請けの一人親方の労災事故でも責任を負う

もともと国の労災が効かない一人親方はもちろん、下請の事業主(社長)も現場で作業をします。

元請としては、一人親方や下請の事業主に対して「労災の特別加入」に加入するよう徹底しているのは大手ゼネコンやハウスメーカーなどでもよく聞く話です。

しかし、現場で労災特別加入をしていない一人親方の死亡事故発生!となったときに、元請責任が発生するでしょうか?

「100%の責任ではなくとも、被害者の過失があったとしても、必ず責任を負う
と思っておいた方がよいでしょう。


使用者と見なされる元請はすべての下請の安全に配慮する義務を負います。
「労災の特別加入の指示徹底」が焦点ではなく、死亡事故までのプロセスが元請責任のポイントとなってきます。

さまざまな角度から、
死亡事故を起こさないために全力で被害者の安全に配慮したのか という検証が行われます。






■まとめ

・元請業者は全下請業者を労働災害からまもる義務があります。ひとたび労災が発生すれば「安全配慮義務」から元請責任を追求されるものと考えておきましょう。
・労災訴訟は年々高額化しており、また元請業者に悪質性があると判断されれば刑事罰を科せられることもあります。なので、国や各建設団体などのガイドラインに則り、法令遵守や安全衛生管理体制の確立、末端の下請業者への安全教育の徹底が重要課題となっています。
・“労災の上乗せ保険“では”使用者賠阿食償責任保険“の限度額は1億円以上が望ましく、すべての下請負人を補償の対象とするよう設定することが必須です。







渡部